top of page

​■量子

 「量子」とは、物理学における最小単位のエネルギーまたは物質を指します。量子力学は、原子や素粒子といった微小な系の物理的性質を研究する理論であり、20世紀初頭に確立されました。

■量子力学

​ 「量子力学」とは、物質の微小な粒子(例えば電子、光子、原子)の振る舞いを記述する物理学の一分野です。20世紀初頭に開発され、物理学における最も基本的かつ革命的な理論の一つとされています。量子力学は、ニュートン力学が適用できない微小なスケールでの現象を解明し、多くの技術進歩の基礎となっています。

■量子回路

 「量子回路(Quantum Circuit)」とは、量子コンピューティングにおける基本的な計算手順を表します。これらの回路は、量子ビット(qubits)上での情報処理を行うための量子ゲートの連なりで構成されています。量子ゲートは、古典的な論理ゲート(AND、OR、NOTなど)に相当するものですが、量子ビットの重ね合わせと絡み合いという量子力学の原理を利用しています。

■量子コンピューティング

 「量子コンピューティング」とは、量子力学の原理を利用して情報を処理する新しい種類の計算です。従来のコンピュータがビット(0または1のいずれかの状態を持つ)を基本的な情報単位として使用するのに対し、量子コンピュータは量子ビットまたはキュービット(qubit)を使用します。キュービットは0と1の状態を同時に表現することができる量子重ね合わせの性質を利用します。

■量子ゲート

 「量子ゲート」とは、量子コンピューティングにおける基本的な演算子であり、古典コンピュータの論理ゲートに類似していますが、量子ビットの重ね合わせと絡み合いの状態を操作することができる点が異なります。

■量子ビット

 「量子ビット」とは、量子コンピューティングの基本的な情報単位です。古典的なビットが0または1のどちらかの状態を取るのに対し、量子ビットは量子力学の原理を用いて、0と1の状態の両方を同時に表現することができるという特徴があります。これは「重ね合わせ」と呼ばれる性質によるものです。

量子ビットが重ね合わせ状態にある時、それは0の状態の「確率振幅」と1の状態の「確率振幅」との組み合わせとして表されます。これらの確率振幅は、量子ビットが測定された際に、それぞれの状態が観測される確率の大きさを決定します。

■VQE

 「VQE: Variational Quantum Eigensolver(変分量子固有値ソルバー)」とは、量子コンピューティングにおけるアルゴリズムの一つで、特に化学の分野での分子の基底状態エネルギーを見つけるために使われます。この手法は、量子コンピュータが完全にエラーを訂正できるほど十分に発展していない現在の「ノイズの多い中間スケール量子」(NISQ) デバイス上で利用可能な、最も有望なアプローチの一つです。

VQEは、量子状態を説明するためにパラメータ化された量子回路(アンザッツ)を使用し、この回路を使って系のハミルトニアンの期待値を計算します。この期待値は、量子ビットの状態が表す分子のエネルギーに対応します。VQEの目標は、このエネルギー期待値を最小化することにより、系の基底状態エネルギーを見つけることです。

■NISQ

 「NISQ」とは、「Noisy Intermediate-Scale Quantum」の略で、「ノイジー中間規模量子」と訳されます。NISQテクノロジーは量子コンピューティングの発展過程における一時期のテクノロジーを指し、現在の量子コンピュータが直面している重要な段階を表しています。

■QAOA

 「QAOA」とは、「Quantum Approximate Optimization Algorithm」の略で、「量子近似最適化アルゴリズム」と訳されます。これは量子コンピュータを使用して組合せ最適化問題を解くためのアルゴリズムで、特にNISQ(ノイジー中間規模量子)デバイス上での実行を目指して設計されています。

 

■ハミルトニアン

 「ハミルトニアン」とは、物理学、特に量子力学において、系の全エネルギーを表す関数または演算子のことです。クラシックな力学においては、ハミルトニアンは系の運動エネルギーと位置エネルギーの合計として定義されますが、量子力学ではもう少し複雑な意味を持ちます。

■エルミート行列

 「エルミート行列(Hermitian matrix)」とは、複素数を要素とする正方行列であり、その共役転置(複素共役かつ転置)が自分自身に等しい性質を持つものを指します。

■ナップサック問題
 「ナップサック問題(Knapsack problem)」とは、計算機科学とオペレーションズ・リサーチの分野でよく知られている組合せ最適化問題の一つです。この問題は、限られた容量のナップサック(バックパック)に最大限の価値を持つアイテムを詰め込むという状況をモデル化したものです。

 

■巡回セールスマン問題
 「巡回セールスマン問題(Traveling Salesman Problem, TSP)」とは、組合せ最適化の分野で非常に有名な問題です。この問題は、セールスマンが複数の都市を訪れ、各都市を一度だけ通り、出発点に戻る最短のルートを見つけるというものです。
 

■最大カット問題
 「最大カット問題(Max-Cut Problem)」とは、グラフ理論における典型的な最適化問題の一つです。この問題は、与えられたグラフを二つの部分集合に分割し、互いの集合に属する頂点同士をつなぐエッジの重みの合計を最大化するという問題です。
 

■最大流問題
 「最大流問題(Maximum Flow Problem)」とは、ネットワークフロー理論の中心的な問題の一つです。この問題は、各エッジに流れることができる最大量(容量)が定められた有向グラフ(ネットワーク)において、一点(源点、またはソース)から別の点(終点、またはシンク)まで流すことができる流れ(フロー)の最大値を求める問題です。

■頂点被覆問題
 「頂点被覆問題(Vertex Cover Problem)」とは、グラフ理論における典型的なNP困難問題の一つです。この問題は、与えられた無向グラフにおいて、最小数の頂点を選ぶというものです。選ばれた頂点の集合が「頂点被覆」となるためには、グラフ内の全てのエッジが少なくとも一方の端点に選ばれた頂点に接続している必要があります。

■グラフ彩色問題

 「グラフ彩色問題(Graph Coloring Problem)」とは、グラフ理論において重要な位置を占める組み合わせ最適化問題の一つです。この問題の目的は、グラフの各頂点に色を割り当てることであり、隣接する頂点同士が異なる色になるようにすることです。問題の解は、この条件を満たす色の割り当てであり、目標は使用する色の数を最小化することです。

■テンソル計算

 「テンソル計算」とは、物理学や工学、特に相対性理論や連続体力学、さらには機械学習やニューラルネットワークの分野で重要な役割を果たす数学的な概念です。テンソルとは、ベクトルや行列を一般化した数学的なオブジェクトで、多次元のデータを表現するのに使用されます。

■ユニタリ行列
 「ユニタリ行列」とは、複素数を成分とする正方行列で、その逆行列が共役転置行列(エルミート転置とも呼ばれます)と等しい特性を持つ行列です。数学の特に量子力学や線形代数などの分野で重要な役割を果たします。

■量子イジングマシン
 「量子イジングマシン」とは、量子コンピュータの一種で、特にイジングモデルを用いて最適化問題を解くために設計されています。イジングモデルは物理学における統計力学のモデルで、磁性体を模倣していますが、計算の文脈では、非常に複雑な最適化問題を解くための強力なツールとして利用されます。

■量子もつれ

 「量子もつれ」とは、量子力学における現象の一つで、二つ以上の粒子間でその量子状態が密接に関連し合っている状態を指します。この関連性は、粒子が空間的に離れた場所にあっても維持され、アインシュタインによって「スプーキーな遠隔作用」と表現されたほど不思議な性質を持っています。

■Circuit depth
 「Circuit depth」(回路の深さ)とは、特に量子コンピューティングの文脈で使用され、回路が実行する量子ゲートのレイヤー(層)の数を指します。量子コンピューティングにおける回路は、基本的な量子演算(ゲート)のシーケンスで構成されており、これらのゲートが量子ビット(キュービット)上で実行されます。

■Cirq
 「Cirq」とは、量子コンピューティングのためのオープンソースのソフトウェアフレームワークです。Google Quantum AIチームによって開発され、特にノイズの多い中間スケール量子(Noisy Intermediate-Scale Quantum, NISQ)コンピュータ向けに設計されています。Cirqは量子回路の設計、シミュレーション、そして特定の量子プロセッサ上での実行を可能にするツールを提供します。

■cuStateVec
 「cuStateVec」とは、NVIDIAが提供するCUDAツールキットの一部である、GPUに最適化された量子状態ベクトルシミュレータです。このライブラリは、量子ビットの状態を表すために大規模なベクトルを使用し、量子計算をシミュレートするための高速な操作を提供します。cuStateVecは、NVIDIAのGPUアーキテクチャを活用して、量子コンピューティングのアルゴリズムとシミュレーションを高速化します。

 

■cuTensor
 「cuTENSOR」とはNVIDIAが提供する、高性能なテンソル演算ライブラリです。このライブラリはCUDAを基盤としており、GPUを使用してテンソル(多次元配列)の操作を高速化することを目的としています。cuTENSORは、特に機械学習、科学計算、量子物理学など、テンソル計算が重要な役割を果たす分野において広く使われています。

■FTQC
 「FTQC(Fault-Tolerant Quantum Computing)」とは、量子コンピューティングの分野において重要な概念で、エラーに対して耐性を持つ量子計算の方法を指します。量子コンピューターは、非常に微妙な状態を扱うため、外部の干渉や自身の不完全性によりエラーが発生しやすいです。FTQCは、これらのエラーを検出し、修正するメカニズムを提供することで、正確な量子計算を可能にします。

■Graph Colouring

  Graph Colouring(グラフ彩色)」とは、数学のグラフ理論における重要な概念の一つです。これはグラフの各頂点に色を割り当てる問題で、隣接する頂点同士が異なる色になるようにします。グラフ彩色は、さまざまな実用的な問題をモデル化し解決するために使われます。

■Graph Partitioning

 「Graph Partitioning(グラフ分割)」とは、グラフ理論における重要な問題の一つで、数学や計算機科学の多くの応用分野で利用されています。この問題は、グラフの頂点を複数のグループまたは「パーティション」に分割することに焦点を当てています。

 

■k-clique

 k-clique」とはグラフ理論における基本的な概念の一つで、特定の性質を持つ頂点の集合を指します。ここでいう「clique」(クリーク)とは、グラフ内の全ての頂点が互いに直接接続されている頂点の部分集合のことです。そして、「k-clique」は、ちょうどk個の頂点を持つクリークを意味します。

bottom of page